小学校英語|2年生で何を準備すべきかを解説。事前準備で不安を解消

小学校3年生になると、「外国語活動」という授業が始まります。

「全く準備していない」「英語嫌いになるのではないか」「親も何かしないといけないか」など、親の不安が大きくなってくるは子供が2年生の秋冬頃ではないでしょうか。

本記事では中高の英語の教員免許を持ち、半年の留学経験がある、二児のバイリンガル子育て・おうち英語に奮闘中の筆者が外国語活動の内容について文部科学省が示す学習指導要領をもとに説明し、どのような準備をしていくべきかについて説明します。

外国語活動の目標は何か|学習指導要領を見てみる

以下は学習指導要領の外国語活動の目標です。長いので読まずに飛ばしてもかまいません。簡単に筆者がまとめます。

1 目 標
 英語学習の特質を踏まえ,以下に示す,聞くこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表]の三つの領域別に設定する目標の実現を目指した指導を通して,第1の(1)及び(2)に示す資質・能力を一体的に育成するととに,その過程を通して,第1の(3)に示す資質・能力を育成する。
(1)聞くこと
ア ゆっくりはっきりと話された際に,自分のことや身の回りの物を表す簡単な語句を聞き取るようにする。
イ ゆっくりはっきりと話された際に,身近で簡単な事柄に関する基本的な表現の意味が分かるようにする。
ウ 文字の読み方が発音されるのを聞いた際に,どの文字であるかが分かるようにする。
(2)話すこと[やり取り]
ア 基本的な表現を用いて挨拶,感謝,簡単な指示をしたり,それらに応じたりするようにする。
イ 自分のことや身の回りの物について,動作を交えながら,自分の考えや気持ちなどを,簡単な語句や基本的な表現を用いて伝え合うようにする。
ウ サポートを受けて,自分や相手のこと及び身の回りの物に関する事柄について,簡単な語句や基本的な表現を用いて質問をしたり質問に答えたりするようにする。
(3)話すこと[発表]
ア 身の回りの物について,人前で実物などを見せながら,簡単な語句や基本的な表現を用いて話すようにする。
イ 自分のことについて,人前で実物などを見せながら,簡単な語句や基本的な表現を用いて話すようにする。
ウ 日常生活に関する身近で簡単な事柄について,人前で実物などを見せながら,自分の考えや気持ちなどを,簡単な語句や基本的な表現を用いて話すようにする。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 p.151より

まとめると、外国語活動には3つの目標があります。それは「聞くこと」と「話すこと[やり取り]」、そして「話すこと[発表]」です。実質的には聞くこと・話すことの素地づくりが目的であるということがわかります。

そして、この順番も重要で、まずは聞くことが重視されており、次第に「かんたんなやり取りができる」そして「考えや気持ちを発表できる」といった話すことにシフトしています。

小学校英語で授業を通して3年生が習得すること

学習指導要領によると、自分のことや身の回りの物を表す簡単な語句やそれらを表す簡単な表現を聞き取ること、そして、それらを伝えることの練習をしながら、簡単な挨拶、感謝の気持ちや指示を伝えられるようになることが目的です。

次第に自分のことや身の回りのことについて人前で発表できるようにもなることが求められますが、これらは小学校3年と4年の2年間で身につけるものなので、当分の間は「聞くこと」と「話すこと[やり取り]」に慣れることが目標となるでしょう。

授業のイメージ

年に35時間、2年間で70時間が「外国語活動」の時間として時間割に組み込まれます。

そのため、実際に英語に触れるのは1週間に1時間あるかないかという程度です。

ネイティブスピーカーであるALTの先生との交流もありますが、1クラス35人いる環境ではネイティブとの1体1での「話すこと」の機会というものはそう多く取れないかもしれません。

それでも、子供たちはALTの先生とのやり取りを通して「伝わった」という体験ができることは大変意義のあることだと言えます。

小学校2年生でも英語に触れる活動をしている学校がある

こちらは全国的な傾向が分からないため筆者の子供の例で話します。

小学校2年生でもALTと一緒に言語活動をしている学校もあります。

どのような内容かというと、挨拶や自己紹介から始まり、色や動物の名前を使った言語活動です。

宿題などは特にありませんが、これは学習指導要領にある外国語活動の目的が「話すこと」「聞くこと」だからで課題を出すことが難しいからでしょう。動画の閲覧などを指示することも可能でしょうが、筆者の子供が通う小学校ではそのような課題も出ておりません。

小学校英語で3年生が身につけたい表現について

学習指導要領から引用します。

子供たちが英語の言語活動を通して具体的に何を学ぶかが書かれています。こちらはさっとでも目を通しておくことをお勧めします。何ができるようになればよいのかが分かります。

〔知識及び技能〕
(3)言語活動及び言語の働きに関する事項
② 言語の働きに関する事項
 言語活動を行うに当たり,主として次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるようにする。
ア 言語の使用場面の例
(ア)児童の身近な暮らしに関わる場面
 ・家庭での生活 ・学校での学習や活動 ・地域の行事 ・子供の遊び など
(イ)特有の表現がよく使われる場面
 ・挨拶 ・自己紹介 ・買物 ・食事 ・道案内 など
イ 言語の働きの例
(ア)コミュニケーションを円滑にする
 ・挨拶をする ・相づちを打つ など
(イ)気持ちを伝える
 ・礼を言う ・褒める など
(ウ)事実・情報を伝える
 ・説明する ・答える など
(エ)考えや意図を伝える
 ・申し出る ・意見を言う など
(オ)相手の行動を促す
 ・質問する ・依頼する ・命令する など

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 p.153より

上記内容は3年だけでなく、4年生の授業でも取り扱われますので、2年間で学習していくこととなります。

週1回の授業で、これらを定着させるには給食の時間や帰りの会などのちょっとした時間に授業の内容を思い出すよう工夫が必要だと考えられますが、家庭でもそのような表現を親子で楽しむ工夫が必要だと考えられます。

本記事は小学校2年生が英語の授業に向けて何を準備すべきかという話ですので、続いて何をすべきかについて話していこうと思います。

小学校英語で2年生のうちに準備しておくべきこと

小学校2年生で準備すべきことは、挨拶表現や自己紹介、数字や色、動物の名前、そして学校に関係するものの名前を英語で見聞きすることだと言えます。

これは、小学校3年生で使われる単語に親子で楽しく触れることで授業に入りやすくする目的があります。

単語カードを作り、かるたのように遊ぶこともいいでしょう。

YouTubeで英語の歌を聴くこともお勧めします。

分からなくてもよいので、目や耳に入れることを習慣化していくことが3年生になってからの外国語活動を楽しむためのポイントとなります。

小学校で「英語嫌い」になる子供がいる

文部科学省のある調査(全国学力・学習状況調査)では、2021年の小学6年生への調査で「英語が好きか」という質問に否定的な回答をした児童が31.5%いたという結果がありました。これは2013年の調査と比較すると約7%増なのだそうです。

この調査は3、4年生への調査ではありませんし、2013年と2021年では小学校で教える英語にも教え方や教材に違いがあるため、データに対して過剰反応する必要はないと思います。

しかし、小学3年、4年生でやることを読んで、「難しそう」と感じた人も少なくないかと思います。

日本語で考えればそこまで難しいことではありませんが、英語で先述したやり取りを行おうとすると大人でも言葉が出てこないことが多々あるはずです。

ここに「英語嫌い」になる理由が隠れているのではないかと筆者は考えています。

「英語で何と言うのだろう」

「ALTの言っていることが分からない」

「どうして分からない言葉を使わないといけないのだろう(日本語で伝わるのに)」

「覚えるのが難しい」

小学校に入学し、国語では教科書に出てくる物語を読み、算数でも文章問題が出てくれば読解力や思考力が育まれます。

このように母国語が強化されていけば、新たな言語に対して抵抗力が生まれてしまうことは容易に考えられます。

しかも小学校の授業として向き合うと、「勉強しなければならない」という意識も持ってしまうのではないでしょうか。

「英語嫌い」にならないために

「勉強しなさい」「単語を覚えなさい」「書き取りをしなさい」などと、筆者世代は中学時代で初めて出会った英語という教科に対して大人たちから言われてきました。

小学校での外国語活動では、成績をつけられることもありません。

単語も表現も分からない、未知の「英語」ですが、それを使った活動が「遊び」となれば子供たちはしっかりと遊んでくれます。

外国語活動を家庭でも遊びとして扱うことができれば、授業も楽しくなるのではないかと考えます。

ご家庭で、子供と一緒に英語で遊んでみてはどうでしょうか。