小学校3年生から始まる外国語活動では途中からアルファベットが導入されます。
外国語活動の目標は文部科学省の示す学習指導要領において、「聴くこと」「話すこと」に重点が置かれているため、「書くこと」に重点を置いていません。
しかし、小学校での英語の授業を受けたことのない私たち親世代にとって、「先取りすべきか」というような疑問を持つ方も少なくありません。
そこで、本記事ではアルファベットについて自身も幼少期に英会話教室に通っていた経験があり、二児のバイリンガル子育てに奮闘中の筆者が体験談を踏まえて「アルファベットとの向き合い方」について話していきます。
小学校英語でアルファベットをいつ習うか
文部科学省の資料によると、3年生のUnit 6とあるため2学期または3学期あたりで授業に出てくると考えられます。なお、その資料によるとアルファベットに触れる時間として4時間が計画されているので、週1回の授業だとして約1ヶ月かけてアルファベットに慣れ親しむような授業になるようです。
参照:学習指導案例, 3年生 Unit 6 Alphabet アルファベットとなかよし, 文部科学省
冒頭で伝えた通り、「書くこと」は小学校3年、4年の「言語活動」では求められていません。
そのため、アルファベットが授業で扱われる理由は、小学校5年生、6年生になった時に識字率を上げるための準備だと言えます。
なお、「識字」とは、文字を読んだり書いたりして理解することが可能だという状態のことです。
さて、そこで「アルファベットくらいなら自分で教えられるな」と考えるママパパは少なくありません。筆者もそう考えていたので、もちろん教えました。結果的にどうなったのかを続いて説明していきます。
小学校1年生でアルファベットを読み書きできるようになった子供
筆者の家庭ではバイリンガル子育てに挑戦していました。
0才児の頃から英語を見聞きしているため、英単語を早い段階から認識できていました。
小学校1年生の途中で、アルファベットの大文字をほとんど理解できていましたし、小学校2年生になった現在では小文字も練習しています。
慣れ親しんだ絵本であれば幼稚園の年長児の頃に自分で読んでいたと記憶しています。
どうしてそこまで読み書きできるようになったのか
具体的に何をしていたのか、それは圧倒的に見聞きしていたということ以外に思いつきません。
セサミストリートの動画やアルファベットの歌などYouTubeで流しながら一緒に歌っていましたし、幼稚園の年中時にアルファベットを書くワークのようなものを購入して一緒に色塗りしていました。
誕生日や何かの記念日などにもアルファベットのガーランドを用意していたり、日頃のお絵かきでも簡単な英単語の綴りを書いてあげたりしていたので、生まれてずっと英単語を見て育っていたのです。
これは、日本人がどこそこに散りばめられた日本語を見ながら育つことと一緒です。
現在、筆者の下の子は4歳ですがあらゆるところにある日本語(カタカナ)を見つけては読もうとしますし、間違いながらもひらがなで手紙を書いて人に渡そうとしています。
生活の中に文字があればそれを認識できてしまえば勝手に真似をして遊んだりコミュニケーションのきっかけにしたりするのです。
対して日本語がおかしくなったりしなかったのか
英語を0才児から始めた当時、日本語の遅れが問題になったりしないかという不安がありました。
やってみないと分からないという状態でしたが、どうせ大人になる頃には多少の差は目立たなくなるだろうと考えることにしました。
結果的には日本語も決して人より上達が遅いということはありません。
これには科学的な根拠があり、脳科学者の研究によると複数言語に触れることは脳内のニューロンという脳神経を発達させるために効果があると言われています。
そもそも複数言語を扱う国はヨーロッパにも複数存在していますし、言語に複数触れることで様々な文化や人種への興味を持つきっかけにもなります。
これは、日本語の遅れもなくより多くの興味関心を持つことができるという点でデメリットがほとんど無いと個人的には感じています。
小学校英語で習う前にアルファベットに触れる際の注意点
とはいえ、アルファベットの学習には色々と注意点はあると考えています。
文字よりも聞いたり話すことを優先すべき
ついアルファベットを書き取りや練習に執着してしまい、気がつくと「勉強」を強要していたという事態になっていることもあります。
本来、言語はコミュニケーションのツールであり、日常会話であれば文字の読み書きができなくとも習得可能です。
幼児が2歳、3歳と成長するほどに母国語による会話が上手になることを考えると納得できるでしょう。
そのため、まずは話すことを目標にインプットとアウトプットを習慣化すべきです。
アルファベットの音を日本語よりにしたくない
私達がやりがちなのが、カタカナで英単語を読んでしまうことです。
子供は大人の使っている音を真似しながらコミュニケーション方法を学んでいくことからも慎重になるべきことだといえます。
分かりやすい例が方言のイントネーションです。
地方の方言のアクセントや独特な表現は自然と子供に伝承されます。
ではどうすれば標準的な音を習得できるかという疑問が生まれるでしょうが、これはテレビで標準語に慣れるのと同様に、YouTubeやCD教材のようなもので英語の音に慣れることが効果的です。
そして親子で一緒にまねすることを楽しむことができれば、学び直しになるのでおすすめです。
アルファベット自体は記号と同じである
筆者はあまりアルファベットに執着すべきではないと考えます。
単語ならまだしも、アルファベットは記号のようなものでそれ自体を覚えてもコミュニケーションには繋がりません。
筆者がオーストラリアに半年間留学していたときに、日本人で1年前から留学していた方がいました。
彼は文法や単語を覚えることが苦手で筆者よりも語彙力がありませんでしたが、それでも英会話能力は圧倒的に高かったです。
会話能力はどれだけインプットとアウトプットを繰り返したかだと思いますので、アルファベットは英語に興味を持ってからでも遅くないかと思います。
具体的なアルファベットの練習方法
では、子供がアルファベットに興味を持った時、または英会話を習得させる過程で英語の音を意識させたいとママパパが感じた時にどのようなワークや練習があるのかについて説明していきます。
まずは歌を歌う
まずは、幼児向けの歌を聞き流しすることをおすすめします。
特にABCソングとキラキラ星は同じメロディなので導入にとても役立ちます。
他にも「London Bridge is Falling Down」や「Open Shut Them」といった簡単な曲もまだ小学校1年生、2年生であれば興味を持ってくれます。
アルファベットと単語をセットにする
そして、アルファベットの正しい音を覚えるためにも次のようなフォニックスを扱った動画を見ることも大切です。
フォニックスと単語と発音の関係性について学ぶことができる学習方法で、勉強というよりマネ遊びとして導入すると子供たちは楽しく真似をしながら正しい音を身に着けていくことができます。
母音も意識する
正しい発音だけでなく、母音についても意識を向けると良いでしょう。
例えば、筆者のお気に入りはYouTubeにある「Super Simple Songs」というチャンネルの動画です。
「母音を変えて単語を読むとこんなにも音が違う!」という発見と、バナナとりんごという知っている単語の雰囲気が大きく変わるおもしろさが子供の関心を引き付けます。
おわりに
小学校英語でアルファベットを学習させる時、筆者の経験からこれは3年生の授業を待たなくても良いと考えます。
ママやパパが子供と楽しく英語の学習をしながら言葉遊びや音あそびができれば、それが一番子供にとってもは興味関心を引き出す機会となります。
はじめはうまくいかないこともあるでしょうが、今から始めることで親子で一緒に学ぶことができます。
子供が小学6年生になる頃には、きっとママとパパも4年〜6年の学び直しをしており、リスニングや語彙力が向上していることは間違いありません。