日本の政府による、教育再生実行会議で高校普通科の見直し改革が提唱され、これから教育再生に向け様々な取り組みが行われます。
7割の高校生が普通科に進学する現状で、そのような見直し改革を計画しているわけですが、果たしてどのような未来になるのでしょうか。
また、学校の教育が大きく変化しようとしている今、家庭ですべき子育て・教育についても考えていくべきです。
高校普通科の見直し改革でICT活用や特徴的な授業が増える
まず、2019年1月の時点での国が考える高校普通科の見直し改革について、首相官邸の公式WEBサイトにて安倍総理が動画によるコメントをしています。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201901/18kyouikusaisei.html
2019年5月17日には第11次提言が公開されたニュースがありました。
中身は、「現代の技術発展に合った教育」、「新時代に向けた高校教育改革」といったもので、具体的にはICT活用や学校ごとの特徴的な授業が増えること、また、外部講師等を活用した授業といったものが増えるのだそうです。
それら改革の背景にあるものは、政府が提唱するsociety5.0という社会を生き抜くスキルの獲得です。
高校普通科の見直し改革はsociety5.0を生き抜くスキルが目的
そもそも、society5.0とは何かという話になります。
詳しくはこちらの政府広報のページを見ると分かりやすと思います。
https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/
簡単に言うならば、IoT技術によってモノがインターネットに繋がった世界であり、多くの情報を共有して世の中をもっと便利にしようという世界です。
AI(人工知能)によりその情報は処理され、高度な分析のもと現代の社会問題の多くを解決しようとしています。
自動車の自動運転技術や、ドローン、3Dプリンターなど、近代では様々な技術が急速な進化を遂げていますが、まさにこれらを使って世の中を便利にしていこうという考えです。
近い将来、このような技術が当たり前に生活に溶け込んでいるはずですが、その社会を実現するために高校普通科を見直そうというのが今回の改革なのです。
高校普通科の見直し改革は子供の5年、10年後に効果的なのか
高校普通科の見直しで効果があるのか、という疑問も抱く方がいるかと思います。
society5.0を実現可能にするために、どのような知識・技術が必要なのか考えてみましょう。
- モノをインターネットにつなぐ技術
- AI(人工知能)を開発・制御する
- society5.0に合ったモノを開発できる知識・技術
- 膨大なデータを収集する技術
- 膨大なデータを分析する統計学的な知識・技術
他にも多くあると思いますが、大枠の部分だけでリスト化してみました。
それぞれを簡単に説明していきます。
モノをインターネットにつなぐ技術
まずIoT化する技術が必要です。
こちらは4,5年前から窓や冷蔵庫、ガラスや照明といったインターネットに接続できる家電製品の開発を各企業がしていました。
クーラーなども、現在ではスマホで操作して事前に部屋を冷やしたり温めたりすることが可能です。
防犯カメラや自宅のドア、自動車やバスなどもどんどんインターネットに接続されています。
スマートスピーカーは、テレビやスマホ・PCと接続できるハブ(中継地点)のような存在で、活用の幅が広く可能性を感じます。
今回は割愛していますが、IoT化を進めるにあたってセキュリティの技術者も欠かせません。
AI(人工知能)を開発・制御する
AIを開発・制御する技術が知識と技術が必要です。
これは、IoT化を進めるにあたって、モノ(家電など)が手に入れた情報をモノ自身にどのように処理させるかということを操作する技術です。
自動運転へのAI技術の活用を考えてみると、膨大なパターンの中から最適なものを選び出すという技術が必要で、その開発と制御にはお金と時間がかかります。
高い計算技術と、論理的思考、心理の探求、データ分析力などが欠かせないでしょう。
society5.0に合ったモノを開発できる知識・技術
society5.0の時代を生み出すにあたって、家電製品の開発も必要です。
インターネット接続ができるモノならば、アプリ操作なのか、製品自体にコントロールパネルを設置するのかといったデザインも考えなければなりません。
また、既存の家電製品をインターネットに接続できるようにする機器も開発できれば、安価でsociety5.0の環境を整備することができます。
また、インターネットに不安を感じている方や操作が分からないという方でも安心して使うことができる操作性やシンプルなデザインも必要になってきます。
ただただ、新製品を作ればよいというわけではなく、世の中の人にとって安心できる製品でなければなりません。
膨大なデータを収集する技術
IoTでインターネット接続する家電製品のほかにも、膨大な情報を収集する仕掛けが必要です。
そのため、技術者はアプリやサービスの中でも情報を収集する技術を開発してきました。
GAFAと呼ばれるAmazonやGoogle、Facebook、Appleはそのプラットフォームとして発展してきました。
これからは、個人でも中小企業でもそのようなデータ収集をする技術を持たなければなりません。
もちろん、自社・自身で不可能であれば外注する方法があります。
そのため、委託されたデータの収集や管理をする事業にもニーズがあると言えますね。
膨大なデータを分析する統計学的な知識・技術
日本には統計学を専門的に学び、データを扱える人材が少ないという話を聞いたことがあります。
https://diamond.jp/articles/-/62901
上記は2014年の記事なので情報が古いですが、当時から統計学を研究する大学教員の数が少ないと心配されていました。
これからの時代はアプリやサービス、AIによって収集された情報(ビッグデータ)を高度に分析できるスキルが欠かせません。
以上が、society5.0で求められる知識・技術だと筆者は考えていますが、高校でどのような授業を展開していくのでしょうか。
高校普通科でどのようにこれらのスキルを身に着けさせるのか
文部科学省が定める、これからの高校教育のポイントは次の資料に記載されています。
高等学校学習指導要領の改訂のポイント (PDF:178KB)
この中には、情報教育(プログラミング教育を含む)を学ぶ「情報I」という授業では、データベースの基本やプログラミングを全ての生徒に学習させることが書かれています。
また、理数系の教科では統計教育を充実させることを、国語では論理国語・古典探求といった情報を深く解析することを充実化させていくようです。
そのため、society5.0で必要とされる知識・技術をそのまま教えるのではなく、その基盤となる論理的思考力や分析力、統計的なスキルをこれまでの教科の中で身につけさせていくといった流れになることが考えられます。
家庭ですべき子育て・教育について考える
統計を取ること、深く考え分析すること、論理的に物事を考えることなど、家庭でも日々の子育てでできることはあるはずです。
まずは、親がsociety5.0について知り、どのような時代になるのかを想定すべきだと考えます。
未来の子育てについて別の視点から書いた記事があるので、ぜひご覧ください。
読者の皆さんが子育てを考える際に少しでも役立てば嬉しいです。