前回、「バイリンガルの子育てで失敗を回避したいなら向き合うべき6つのこと【前編】」で、その6つの視点をご紹介しました。
本記事はその続きなので、読んでいない方は「バイリンガルの子育てで失敗を回避したいなら向き合うべき6つのこと【前編】」を先にお読みいただくと理解が深まると思います。
どのようなバイリンガルの子育て失敗談が世の中にはあるのか
こちらはネットで検索すると、色々な失敗談を見ることができます。
一番多いのは、やはり英語と日本語が混在してしまうというケースのようです。
他にも、カンタンなやりとりはできるけれど複雑な内容は話せないケースや日本語の遅れが深刻化するケースなどがあります。
また、環境が変わってバイリンガル教育が継続できなくなるケースやバイリンガル教育によって家族のコミュニケーションが減ってしまったというケース、流ちょうな英語のせいでいじめにあるといった問題が発生するケースなどが想定されます。
筆者は、これらの多くは言語の習得だけを目的とした場合に起こるのではないかと考えています。
また、言語の習得の先にコミュニケーションや思考・判断・分析力の深化といったものを意識できるかどうかでバイリンガルによる子育ての失敗を軽減することができるという確信があります。
このように確信している理由については後述します。
バイリンガル子育てで失敗しないために思案していること(実例)
バイリンガル教育は失敗すると子供の人生に影響を与えてしまうため、慎重にすべきです。
筆者はこれまでに身に着けた教育学、英語、(教育)心理学の知識と、子育て経験、海外留学経験、バイリンガル教育の2年の実績をもとにこれからのバイリンガルによる子育てを次のように進めていこうと考えています。
- 日本語と英語を夫婦で分担する。または自宅では英語、外では日本語と切り分ける。
- 英語による思考や知識のレベルをあげるために海外の教科書を使って学習をする
- 日本語の文字、漢字の魅力を伝え、日本語の魅力について親しませる
- ネイティブとの交流を定期的におこなえる環境に飛び込む
- 言語の習得→知識・経験の増加→思考の深化という流れを前提にバイリンガル教育をする
それぞれについて簡単に説明していきます。
日本語と英語を夫婦で分担する。または自宅では英語、外では日本語と切り分ける。
成功例を調査していると、うまくいっているところは完全な切り分けがポイントとなっているケースが多いようでした。
そこで、筆者の家庭では日本語と英語の会話を夫婦のどちらかで分担するようにしようと思っています。
それが厳しいようであれば、筆者のみ自宅では英語、外出先では日本語といったような切り分けをするつもりです。
英語による思考や知識のレベルをあげるために海外の教科書を使って学習をする
これはとても大事なことで、3歳児にもなると日常会話は無学習でも身に着けることはできますが、その後の論理的思考や判断力、計算力、分析力といったスキルは学校の教科書のようなものを使ってでなければ身に付かないからです。
5~6歳になる頃には英語で計算したり、知識を吸収したり、物語を読んで登場人物や筆者の気持ちを読み取ったりできるようになってほしいと考えていますが、そのためには小学校の授業を自宅で英語を使ってできないかと模索中です。
日本語の文字、漢字の魅力を伝え、日本語の魅力について親しませる
日本語には素晴らしい魅力や面白さが秘められています。
私たちは書き順や部首の意味などを小学生の間に習いますが、これを親が教えるとなるとなかなか難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。
漢字の止め、はね、はらいを考えれば書き順の予想がつきますし、漢字の成り立ちも象形文字など様々な文字に由来し、部首や組み合わせる文字で意味を推測することができます。
日本語の魅力を伝え、日本の文学を通して日本文化を伝えることはこれから先どこに住んでいても親子で親しい楽しみたいと考えます。
ネイティブとの交流を定期的におこなえる環境に飛び込む
自宅にいて環境を作るのであれば、オンライン英会話の授業を申し込むことでアウトプットの環境をつくることができます。
しかし、画面を通してではなく交流の体験を用意するというと案外悩んでしまいがちです。
そこで、筆者は地域の公民館や図書館で配布されているボランティア行事や無料体験に目をつけました。
国際ボランティアや国際交流で人材を求めている団体は探せば少なくありません。
このような場所でネイティブの友人をつくり、自分のコミュニティを広げていくことでバイリンガルの子育てを充実させることが可能になります。
言語の習得→知識・経験の増加→思考の深化という流れを前提にバイリンガル教育をする
筆者は、言語を使って知識を蓄え、論理的思考や・分析能力・計算能力を高めながら良い人生を送れるようになることが言語習得の本来のの目的だと言えます。
つまり、言語の習得は、それ自体が目的ではありません。
そのため、言語が混在したコミュニケーションや、言語の習得を目的とした教育では論理的思考や判断力、分析力を身に着けられない可能性が高いと思っています。
なので、ただただ英語と日本語を使えるようになるといった教育方針だけではバイリンガルによる子育ての成功率は大きく下がってしまうと考えます。
結局、英語ができる親や教育者でなければバイリンガル子育ては成立しないのか
今回の記事を書きながら、筆者自身にとっても読者にとっても「難易度高い話」だと思いました。
結局英語のできる親や教育者といった人でなければバイリンガル子育てはできないのではないかと考えた方もいるのではないでしょうか。
しかし、結論は「No」であり、バイリンガルの子育ては誰にでもできると考えています。
理由は2つあります。
- お国柄でバイリンガル、トリリンガルの教育が当たり前のところがある
- 自分の受けた教育を思い出しながら親子で一緒に成長していけば良い
この2つについて掘り下げていきます。
お国柄でバイリンガル、トリリンガルの教育が当たり前のところがある
国によっては2ヶ国語、3ヶ国語話せるのが当たり前のところがあります。
言語が似ているという特性や学校教育に組み込まれているという特徴があるかもしれません。
しかし、それよりもこの事実に学べることは、人間は言語を同時習得することがスペック上可能であるということです。
あとは、方法を学び、失敗談からケーススタディしリスクを回避するだけではないでしょうか。
自分の受けた教育を思い出しながら親子で一緒に成長していけば良い
論理的思考力などを身に着けるには小学校で自分が受けてきた教育を英語ですればいいと考えます。
また、言語習得の最初のステップは無言期(サイレント・ピリオド)であり、これは1年半~2年の期間を要します。
この間、親は子供に言葉がけをしなければいけませんが、高度な内容である必要はなく、初めの頃は単語レベルでも全然かまわないわけです。
日本語を使わず英語で会話する練習を2年くらいできると思えば、なんとかなりそうな気がします。
2年も毎日のように英語を聞いて話そうとしていれば、確実に上達するので、親子で一緒に伸びていけば良いと考えます。
(もちろん、親の方が努力量や検証することは膨大で大変だと思いますが。)
バイリンガル子育てで失敗を回避するためにできること(結論)
結論は至ってシンプルです。
バイリンガルの子育ては、失敗すると子供に影響があるのでやると決めたら本気でやるということです。
そして、無言期(0~2歳)から、カンタンなコミュニケーションに慣れる時期(2~5歳)、論理的な思考力、判断力、分析力を身に着ける時期(5~12歳)といったように長期的な視点でバイリンガル教育と向き合っていく必要があります。
初めのうちは、学習だとか勉強だと思うことなく英語のマネ遊びや伝わる喜びを親子で楽しむことが一番大事だと考えます。
親子で新しい気付きや発見を楽しみ、成長していくことがバイリンガル教育の一番の秘訣なのではないでしょうか。
筆者のバイリンガル教育は現在2年が経過しています。
今後も情報をこちらのサイトで発信していこうと考えていますので、バイリンガル教育でお悩みの方や挑戦しようかどうか迷っている方の参考になればと思っています。